代表メッセージ message

「大量に作って、大量に捨てる」

私たちは、こういう時代は、
終わりに近づいていると感じています。
「もったいないという気持ちを大事に」。
ここにこだわり続けるから
「もったいない本舗」だと思う。

あたらしいものを買うことに喜びがあるのも真実です。
でも同時に、おじいさんから受け継いだ時計を使っている若い人がいたり、 いいものを長く大切に使うことも、私たちは求めているように思います。
ごみ問題をはじめとする環境問題がクローズアップされているからこそ、 大量生産、大量消費の常識から離れた、新しいライフスタイルを提案したい。
私たちは、古本の販売を通じて、持続する社会づくりにとりくみたいと思っています。

もちろん、はじめからこういう思いに至ったわけではありません。
私が創業したのは、2003年。目の前にあるパソコンはWindows98。インターネットは電話回線の「テレホーダイ」で、夜11時になってやっと定額になるサービスでした。
とてもじゃないですが、インターネットで商売をするなんて信じてもらえない状況です。

最初の取り組みは、忘れもしません。
当時、部屋の片隅のダンボールに、私自身が「もう、捨てよう」としていた本を50冊ほどいれていました。
そして、この本を「ヤフーオークションで売ってみよう」と、ふと思いついたことがはじまりでした。
まだ、インターネットで「ものを購入する」というのは「怪しい」といわれる時代です。
購入することも「怪しい」と言われるのに、オークションで「売る側」は“もっと”怪しい。

たしか時刻は夜の9時半ごろでした。
本をひとつひとつデジカメで写真を撮影し、その画像をウェブにアップする作業をしていました。
その日のうちに、50冊ほど、全部ヤフーオークションに出品しました。
たった、一週間で7冊売れて行きました。

知らない人たちと、インターネットを通じてつながったことが、何か無性にうれしかったのを覚えています。

それから8年余りがたちました。
たった一人で狭い自分の部屋から始めた取り組みが、多くのお客様の支持をいただき、大きく成長することができました。
現在、150万冊以上の在庫があり、スタッフは70名です。
毎日3500冊以上の本をきれいにクリーニングし、たのしみにお待ちいただいているお客様に配送しています。

そして、仕事を通して書籍にまつわる様々なことを勉強しているうちに、こんなことを知りました。
一つの国で本のために伐採される木の量は1億2500万本ともいわれます。出るゴミの量もCO2の量も莫大です。
私たちが住んでいる地球の環境をどれだけ破壊しているのか。そう考えると、こわくなるほどでした。
そして、思うようになりました。

「まだ読める本が捨てられている・・・。それもたくさん」
本は読めば増えるものです。たまった本は捨てることになります。
捨てる本の中には、他の人がほしいと思っていたり、他の人が読んだらとても役に立つ本があります。
まだ使えるのに、その本が、日本中あちこちでゴミに出されているのです。

「もったいない」

私たちの取り組みは、本を「リユース」することです。小さな取り組みかもしれません。
けれど、小さいながらも、エコにつながります。続ければ、いつか大きな価値にもなるはず。
この仕事をすればするほど、その可能性を強く感じております。

お客様からよく頂く言葉があります。
「捨てようと思ってました。けれど、ネットで調べたら、簡単に売れそうだったので、試しに使ってみました。本当に簡単でしたよ」
利用していただくお客さまには、できる限り気持ちよくお売り頂きたい、買っていただきたいと、いろいろな努力をしていますので、私どもにとっては、本当にありがたい言葉です。

私は、この仕事を通して「もったいない」という思いを“もっと”大切にしたいと考えています。

もったいない本舗
代表 檜垣 宏輔